杉田君の思い出(上)

僕の友達、杉田君は若いのに渋い趣味を持つ子供だった。牛乳よりもお茶を好み、チョコレートのドーナツよりも濡れせんべいを食べるような、ジジくさいところがあった。
そんな彼の趣味はといえば古刹や名所を回ることで、彼曰く「歴史のあるものに触れるとゾクゾクする」のだそうだ。僕にはよくわからなかったが、そう悪い奴でもなかったし、家も近所だったのでよく一緒に遊んでいた。

ある日、近所の公園でいつも通り複数の友達と杉田君と一緒に遊んでいたときのことだ。
「あれ、おかしいな。おかしいよ、この場所」
そう言うと、杉田君は急に立ち止まって首をかしげてしまった。
僕はといえば、クラスメートと草の上を走り回るのが楽しくて、そんな杉田君をチラリと見ただけで、相変わらず両手を水平にして丸太の上やブロック塀の上を走り回っていた。

帰り道でも、杉田君は何かブツブツと言っていた。帰る方向が一緒だった僕は、何回か杉田君に話しかけたが、上の空と言った感じで相手にされなかった。僕は少しムッとして、それっきり彼に話しかけるのをやめた。普段なら、もっと色々な話をするのに、今日のコイツは変なヤツだと思ったのを覚えている。

次の日、杉田君は教室で突然絶叫をあげ、泡を吹いて保健室に運ばれると、そのまま早退し、翌日から学校にこなくなった。
病院に入院したんだとか、こっそり転校したんだとか、宇宙人に連れ去られたなんて噂が流れたが、暫くすると誰も彼のことを口にする人はいなくなった。情報量が少なすぎて会話が続かなかったのだ。

一学期の終わり、いよいよ待望の夏休みに入るぞという日に、担任の先生は僕を呼び出してどっさりとプリントを手渡した。
「すまないが、このプリントを杉田の家まで届けてくれないか」
先生はそう言うと、本当に申し訳なさそうに手を合わせた。
「えー、でも・・・」
「頼む。先生も、急用ができたんだ」
僕は、家にもって帰らなければいけない習字道具や向日葵の鉢を考えて渋ったが、結局は従うしかなかった。それらの道具は本来なら少しずつ持って帰らなければいけないものだったし、何より大人の、それも先生に逆らうなんてできるわけがなかったのだ。

そして、帰り道。蝉の声をはるか頭上に浴びながら、僕は杉田君の家のチャイムを鳴らした。杉田君の家のチャイムは彼が元気だった時から変わっていなかったが、久しぶりに聞いたせいか、随分かすれたような音に感じたのは、気のせいだったのだろうか。

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2007年11月15日 ショートショート トラックバック(0) コメント(1)

ここで、、、、ここで、つづくの?
うわぁぁぁん。早く、続きが読みたい。
だめだ、、、夢に杉田君が出てくる!

2007年11月17日 chiemi URL 編集












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